うららかな日和に潜む彼女
春爛漫、桜の季節に思うこと____
ひと雨ごとに気温があがり
春うららか、本格的な春を感じさせる靄がかった日差し。
晴れの日も薄曇りのようなアンニュイさが別れと出会いに良く似合う。
言わずと知れた栽培品種
ソメイヨシノは、クローンなだけに同時期に開花。
日本の春をわかりやすく彩ってくれています。
そんな誰もが美しいとする桜の季節
突如として気温が下がり、肌寒いお花見を経験することになるのです。
だから気温や気圧の変化に弱い彼女は、ソメイヨシノが嫌いだった。
嫌いっていう言い方もなんだかなと思うけど…..
体調を崩す季節とお花見シーズンが重なっただけのこと。
いやいや、そうでもないんです。
彼女は、濃いピンク色が大好きなのよ。
でもソメイヨシノの桜色は、濃いピンク色じゃないでしょ?
子供の頃から色鉛筆で描く桜のピンク色と、本物の桜の色が全然違うって思ってたの。
それにお花見って、桜の下で楽しくお弁当を食べたりするけど
結局、お喋りばっかりしていて、ちっとも桜を見てないのよね。
彼女の好きなお花見スタイルは、偶然に電車の中からみる桜の景色や
ふと、通りかかった公園の満開の桜を見かけたとき___
これが、日々に追われる中でいちばん癒されるお花見だと思うのよ。
彼女は、いつもそう思っているけど誰にも言わない。
ソメイヨシノが嫌いだなんて、人格を疑われるものね。
まっ、どっちかっていうと彼女にとって重要なのは、桜の花の色。
彼女好みの濃いピンク色の桜といえば枝垂れ桜や山桜、沖縄の寒緋桜が思い浮かぶわね。
その昔彼女は、枝垂れ桜が有名な六義園へ、彼を誘ったことがある。
夕暮れのライトアップが見所というので
現地で待ち合わせたら長蛇の列で、びっくりしてたわね。
ライトアップまで時間があったので
広大な六義園の中にある多くの種類の桜を見ながら二人で練り歩いていた。
こういうお花見は、楽しいよね___彼女は思う。
自分の足で散策する感じが
彼女の感覚を刺激してくれて、とても心地よかった….
六義園の中には、お茶屋さんがあります。
彼女の中では、ゆっくりお茶と和菓子を楽しむ予定も含まれていた。
ってか、六義園デートならそうでしょ?
いや、しかし___!
人の気持ちがわからないタイプの彼は、お茶屋さんに見向きもせず
ひと通りの桜を見終わったら、当然のように六義園を後にしたのだった…..
あの頃の彼女は、何も言えなかった____
なんだ、このつまらないデートは?
その後、食事をしたかどうだったか、まったく覚えていない。
何よりも彼女は悲しかったんだ。
お茶と和菓子のコースをスルーされたことがショックすぎて…..
この手のことは、以前から気になっていたわね。
彼女は、いつも相手の顔色をうかがって、無言で察して先回りしていた。
相手の気分を損ねなければ合格!
相手が喜んでくれれば、なお良し!
密かに我慢しているのは、いつも彼女だったけどね…..
これが、自己肯定感の低さからくることだと知ったのは、つい最近のこと。
自己肯定感って、何なの?
彼女は、はじめて気づいた。
自分を愛していない自分と自信のなさが、すべてを引き起こしていたってこと。
今まで気にも留めてないから、考えたことがない。
なぜ、自信がないのかすら知らなかった。
昔から、外では褒められたり、才能あるよって言われたりしたけど、彼女本人は、あまり意識できていないから、才能を活かせずに社会に出てしまったみたい。
人より、ちょっと優れていることがあったとしても、その才能を伸ばしていくには、目標と努力があってこそアピールできるものなのよ。
アピールする力って、結局自己肯定感が高くないと難しいみたいね。
なんで、今まで気が付かなかったんだろう…..
そりゃそうでしょう。
周りに気づいてもらわなきゃ、何も始まらないんだもの。
でもそのアピール力を密かに否定されるような環境が、彼女の家庭にあったことを思い出した。
もちろん、否定されているとは思っていなかったからね。
まさか、今頃気づくとは_____
そういえば、彼女の気持ちがわからない親だったな。
確かに3歳くらいで、この親に期待しても無駄だと悟っていたな。
だから、我慢することが当たり前になり
人の顔色をうかがって、言いたいことが言えない彼女が出来上がるのね。
これじゃぁ、社会に出てから苦労するのは、仕方ないでしょ。
彼女を成長させたのは、人の気持ちがわからない彼だったのかもしれないね。
ここは、我慢するところじゃない。
けれど、その伝え方を学んでこなかった彼女は、何度も失敗するのよ。
そうこうしているうちに、とある人に出会う。
とても優しくてビジュアルの良い男性だったけれど
ひょんなことから「僕も自己肯定感が低いんだ」と言い出した。
はっ??
そんな、誰もが羨む容姿の人が、何言ってんだか?
と、彼女は思っていたけど…..
確かにその人の立ち居振る舞いは
いつもどこか自信なさげな感じだったわ。
しばらくして気づいたときには、その人の雰囲気が少しずつ変わってきていた。
堂々と前を見据えて歩き、言いたいことをはっきりと伝えるようになり
ついには、ひとまわり大きく見えはじめたのよね。
どうやら、良い人とお付き合いをしているらしい。
自分に自信を持つことが、こんなに人当たりにさえも影響を与えるんだね。
見てるこっちが嬉しくなってしまうくらいよ本当に。
その人は、人間的にあっという間に成長していったわ。
そして、そうこうしているうちに、ご結婚されたのよ。
なんだ、この絵に描いたような素敵な話は?
現実のことなのかしら…..って思うくらい見事な成長っぷりだったわ。
結局、人は自分の意思で変わりたいと思わなきゃ変われないのよね。
それも、自分一人で成し遂げるのは、とても難しい。
きっと、自ら外に出向いて行って
いろんな人とコミュニケーションをとり合い
その中で知らずに養われるものがあるんだわきっと。
そして、正直であれば、良い人が周りにやってくる。
なんか違う、ちょっとココじゃないかも
とか違和感を感じたときは、すぐに逃げた方が、いいんだと思うの。
ここで、我慢しても何も得られないんだから。
ねえ、そう思わない?
彼女は、無意識に自分に置き換えてみる。
タロットカードをシャッフルして、引いた1枚は「カップの2 逆位置」
意味は____
「不信感により心を開けない」「ひとつのものや人に執着している」
あぁ…..まさに、そのまま出てしまったわね。
ここで、もう1枚引いてみる「カップのナイト」がでた!
このカードの意味は____
「理想の場所に辿り着く」「新しいことが始まる」「清々しい喜び」
よかったぁ!
彼女の鬱々とした気持ちは、もう随分前にとっくに晴れていたから当然の結果かもしれない。
すでに今の彼女は
自分を信じて伝える術をもうすっかり学んでいたのだから…..
今度は、六義園に紅葉を見にいこう____